夜風と蛙の声と

窓辺に落ちたレースのカーテンが、吹き込む西風に大きく揺れている。昼にあれだけ暑かった空気は、夜の帳が入れ替えたように冷たく乾いて、寝室に満ちている。その風に乗せられた蛙の声は、いつしか太くしっかりと耳に届き、路地を通るクルマの音も聞えて、何かを訴える犬の鳴き声が遠くに響いているだけ。梅雨の晴れ間の夜のこと。