二つの背中に 2

<7/18の続き>

夏の陽が路面に張り付いて、わずかに残された湿り気さえも奪い取る。コースの上は、どこを走っても砂塵が舞い上がり、コーナーの出口で大きく上がるルーストに一瞬、強気が弱気に呑み込まれる。午後になって遮る雲も消えてなくなり、土はますます乾くばかり。午前中にはゴロっとうまい具合に固まっていた山砂も、さらりと細かな砂粒になって、風に誘われるままさらさらと泳いで流れる。静かな10分のインターバル、見かねてたsaitoさんがパドックの奥から散水車を転がしてきて、タンクに溜めた雨水をコースの外から路面に向かい、叩きつける。水煙よりも高く大きく砂煙が上がり、淡い褐色が瞬く間に濃く染まっていく。フープスを抜けて右にターン、インフィールドの短い直線にできたわずかな水の溜まり。それに引っかかったのは、赤い背中を見せたCRF150RⅡ乗りだった。

<つづく>