二つの背中に 3

右の肩を少し下げるのが、癖だったか・・・それとも、右の手首を思いきりよく捻っているのか。とにかく、路面にマシンを預けて開け去る背中は、腰のあたりで折れそうなくらいに細くて、CRFのリヤフェンダーをひときわ大きく映す。右に傾げたその上半身のまま、フープスを抜けて右へとターン。進む先、アウトへ立ち上がるラインには、くぼみに小さく水が溜まっている。

まだ右に傾げたマシンを強気に開け放つと、こらえきれずにリヤのタイヤが大きく横に滑った。「きゃあ~」とはっきりそれとわかる声を上げて、それでもマシンを倒さず、振れ幅を収束させるように、次の直角ターンを目指して加速する。少し離れて、右横から眺めていたSXが一拍遅れて追速する。こちらは程よい湿り気のラインを走り、すぐにCRFとの距離が元に戻った。

<つづく>