二つの背中に 4

真後ろに聞こえる2ストロークがSXのものとわかっているから、続くテーブルトップを並ぶように跳び出しても、まったく気にする素振りも見せずに、次のテーブルを軽々と越えていく。離陸を半クラッチに頼るワタシは、その二つのジャンプでまた少し、距離を置かれる。たまにギヤを落として斜面をたどると、恐ろしいほど遠くへと跳んでいくSX。ワタシには苦手が多すぎる。

奥の暗がりに消えた赤色がすぐに明るい陽射しに現れて、その背中がバックストレートのウェーブに揺れる。そして、新しい2連ジャンプ。どこまでも細く健気な背中が、とてもガラスの心臓を抱えているとは思えない高さまで跳び上がり、ワタシとSXは、さらに置き去りにされる。見慣れたはずの背中を眺めながら感傷に浸っていると、左手を軽く挙げて、CRFがコースから出ていった。

<つづく>