2年ぶりに榛名の夏 3

1周しても調子が出てこないのは、ワタシなのかSXなのか。

夏空の下、エンジンはすっかり暖まっているはずなのに、勾配にチカラ負けしているSX。うまく走れないのは、滑りやすい朝一番の路面のせいではなかった。パドックを掠める長い直線、反応の鈍い立ち上がりに、先週のMX408で覚えた違和感を思い出す。構わず全開にしても、記憶の中を走る旧型のKX85-Ⅱにさえ置いていかれて、一つ目のシングルを苦しげに跳び出す。このときはただ、ハリを変えたのがはまらなかっただけと、さして気にするでもなく、もう2周ほど同じことを繰り返してから、パドックへと引き上げた。そう、セッティングを先週の状態に戻すために。

キャブレターの前後を止めるバンドを2本ゆるめて、そのまま左側へとボディをひねれば、スロットルバルブを固定するネジが回せるようになる。そのプラスのネジを2本外せば、長いリターンスプリングがボディからスロットルバルブカバーを押し上げてくる。スプリングを縮めてバルブをこじるようにしながらスロットルワイヤーを外せば、もう手元に銀メッキも鮮やかなスロットルバルブが残る。あとは慎重にハリを抜いて、サークリップをなくさないようにもうひとつのハリに付け替えてから戻すだけ。2ストロークエンジンのキャブレターは簡単でいい。すぐにエンジンを掛けるだけなった。

<つづく>