Border

まったく冴えない空。濃淡のない灰色をぶちまけただけで、ビルとビルの境目もよくわからない。雨は止んで、間延びした景色に漂うのは、昨夜の残り香のような湿り気。涼しいはずの風が、少し足早に歩いただけで、カラダをやわらかく包み込み、首筋に汗が浮かぶ。暑いのか寒いのかのボーダー、気づけば暗くなるのもずいぶん早くなった。

こうして夏は終わっていく。いつものように、一抹の寂しさをたたえながら。