風が吹いたら

昨日は日が暮れても、雨は上がったままだった。宵闇に渡る風もいくぶん軽くなったようで、開け放した窓から忍び込んでは、さらりと肌を触れて落ちる。そして、乾いたばかりの羽をこするコオロギの声が、その風に乗ってきて、スクリーンから流れるツクツクホウシの鳴き声に重なった。

場面では刑事が四人、神社の境内で犯人を取り囲んで追いつめる。最近のドラマは、ずいぶん季節を気にするらしい。BGMにも深みが増していく。このまま風が吹いていけば、次の週末はマシンにまたがれるかもしれない・・・その想いが通じたか、雨の上がった今日の空は、うっすら雲がはがれ、割れ目の青から日もこぼれてきた。