封印 7

<10/9の続き>

「それは、下手だからです」

「開けるたびにすべって、うまく走れない」と嘆くワタシに、そう高笑い。2ストロークでもスロットルはじんわり開けること。それも低いギヤでしっかり開け切ること。シフトチェンジをサボり、高めのギヤを半クラッチでごまかす走りと、まるで逆のことを言う。そのひとつひとつにうなづいてから、荷室に転がったVFX-Wのアゴ紐に手をかけ、再びRMのシートに腰を落とす。左の指をクラッチレバーに滑らせることなく、シフトチェンジを怠けることなく。それだけに神経をとがらせて、明るい陽射しの下から陰る林の奥へと、RMが小さな段差を飛び降りた。

<つづく>