旧知 3

<10/11の続き>

MX408をサヨナラしてから2か月半ぶりに会うカノジョは、少し伸びた髪を一つにまとめて、ヘルメットの裾から垂らして走る。

カノジョの後姿を見るまで、#100さんが教えてくれた曲がり方を繰り返していたのに、あっさりとタガが外れた。その変わらず細い背中に向かい、スロットルを大きく開けてやる。あれから10年。互いにマシンは移り変わっても、まだこうして並んでいられるのは、奇跡なのかもしれない。

二人ともに、マシンの制動と駆動とをしっかり受け止めてくれる山砂育ち。明らかにワタシよりもモトクロス的な乗り方ができているカノジョでも、ここはしばらく走り込まないとうまくない。コーナーのたび、バタバタと両足を出して、その背中を無様に追いかける。格好なんてもう、どうでもよくなっていた。

<つづく>