不覚をとった。
何気ないフレーズが声になる前に、鼻が詰まり、喉が震えてきた。画面に流れる歌詞は滲み出して、動きのある映像が焦点の合わない、ただ色の塊りになっていく。どうやら涙が出ているらしい。
カラスが鳴くから もう日が暮れるね
焼き鳥ほおばり ビール飲もうか
トンガリ帽子の取水塔から
帝釈天へと夕日が落ちる
歌いたかったのは、そんなフレーズ。
何が哀しくなったのか、そんなのわからない。喜怒哀楽のはっきりした子どもは、大きくなっても変わらないだけだ。少し昔が恋しくなったのかもしれないワタシの傍で連れは、驚き黙ってしまった。