Mitsukaido

小貝川にかかる橋の向こうにアドバルーンが二つ、夕暮れを背に黒く細くたなびいている。今となっては見る機会の少なくなった光景。子どもの頃の休日を、何となく思い出す。橋の南詰から先は「常総市」。なじめない名前に変わってしまった生まれ故郷、その街へと渡る橋の下、川面には赤紫に染まった雲がそのまま落ちている。バイパスと旧道、その間にある関東鉄道の軌道をまたいで、そこからもうひとつ川を渡って、急ぐ家路に夕闇がどんどん濃くなっていく。谷田部からの帰り道も、少し鼻歌が雑じるようになった。水海道の外れが、街の灯りに浮かび上がる。