かすみがうらの空

杉の木のてっぺんがふたつ、雲ひとつない真っ青な空の端に突き刺さっている。

木立の中から走り出してすぐ、視界が大きく開きながら右へ落ちるように巻いていく第一コーナー。乾いたイン寄りにできあがったワダチのさらに内側へ、CRF150RⅡのフロントタイヤをねじ込もうとしたはずだった。一気に切れ込んだハンドル、ステムのがストッパーにぶつかり、握りしめたままのフロントブレーキに気がついたときはもう、シートから放り出されて背中から土の上へ落ちた。透明のゴーグルレンズに、まっすぐ映るのはただの青。仰向けに寝ころんで空を見つめるのはひさしぶり、うれしくて今日は少し走りすぎたらしい。すぐにマシンを起こすこともしないで、しばらく空の青を眺めていた。

<つづく>