かすみがうらの空 2

はるばる土浦までの道のりをたどるのは、粟野にあったコースを走りに来た日が最後かもしれない。常磐道の土浦北インターを通り越してから、神立の工業団地へ延びる道へと国道を右折する。日曜日、建ち並ぶ平屋造りの工場には人影もなく、辺りのコンビニエンスストアに停まるクルマもない。8時を少し回って、ここまで1時間半。先導してくれるkojimaさんがいなければ、もう少し時間がかかっていたはずだ。往来のない通りを口に出せない速度で走るCravan、その鼻先が行き先表示板に「神立駅」と描かれた路線バスの真後ろに張り付いた。バスが跨線橋の脇に逸れ、ゆるやかに常磐線の線路をまたいで降りると、青い空の下に、一面の田園風景が広がっていた。降る秋の陽は目に見えるものすべてを光らせて、速度計の針が再び上を向いていく。目的地が近づいていた。

<つづく>