かすみがうらの空 5

ストレートエンド、少し上りながら左、右と切り返す。ここはすっかり乾いていて、調子に乗るとあらぬ方向へ、マシンごとフッ飛ばされそうだ。そこから小さなステップダウンを下りていくと、ひとつ目の難所が現れる。陽の当たらない左カーブは黒褐色に沈み、マシンの軌跡を深いワダチへ変えていく。周回ごとに深くなるワダチ、ミニモトのステップに足は残しておけない。覚悟を決めても、泥につかまったり倒れたり・・・ここでいい加減、チカラを奪われる。でも、抜けられないほどひどいわけじゃない。

十分に加速できる出口からは、続く大きなバンクに気をよくして無駄にその縁へと乗り上げては、一気に右へ走り抜ける。ここが最奥、左は木々の壁。乾いてさえいれば自在なラインで駆けていけそうな直線が緩く右下がりに曲がり、コースで一番低いふたつ目の難所に出る。さらにゆるい黒褐色がいたずらにワダチを許して、もはや両の足で“漕いで”抜け出るしかない。早い遅いは、それがスムースにいくかどうかだけ。焦ればフルサイズの名手でも、その泥に肩から落ちていくことになる。

脱出した先にあるステップアップを越えたなら、起伏のあるストレートが瞳に長く映り込む。

<つづく>