The Isle of Man

マン島」と聞いて思い浮かべるのは、泉優二の小説と、公道を疾駆する市販車レーサーの後姿だけだった。両輪をアスファルトから浮かしたマシンや、そのカウルにカラダをかがめるライダーが小さなフィルムに切り取られては、バイク雑誌に散りばめられていた時代。そんな時代を過ごしたバイク乗りは、公道レースの頂点にあって憧れのシーンを、いつしか胸の内にしまいこんでしまっていた。そのさび付いた扉が今、鈍い音を上げて開かれようとしている。

<つづく>