土曜に思う日々

今年最後の湯宿は、栃木鬼怒川のほとり。

透きとおった温めのお湯が、肌にまとわりのびて、腕を触る手のひらはするりとすべり落ちる。長めに浸かりカラダをしっかり温めてから、水滴に曇ったガラス戸を開き、黄昏の中へ。足にタイルが冷たく張り付いた。

鬼怒川に向いた正面だけが黒く開け放たれた半露天、対岸に並ぶホテルの灯りが、川面に点々と揺れている。ゆっくりとカラダを沈め、吹く風が立ち上る湯気をさらう様をぼんやり眺めながら、過ぎし日に思いを馳せる。

いいことばかりじゃなかったけれど・・・ここまでめくってきた新しいページの刹那が、かすかな硫黄の香りに溶けていく。