早暁の影

夜が終わり、東の空に少しずつヒカリが満ちてくる。それでも漂う雲の帯がまだ陽の姿を隠して、天空も色無く、ぼんやりとしたままでいる。宵からの北風が勢いを増して宙を舞い、細く垂れた電線は唸りを上げて震えるばかり。その固さに抗うように見上げると、北西の空の上、月影が丸く浮かんでいた。

歩く畦道がスニーカーの裏でさくりとつぶされて、昨日の名残の水たまりは、くすんだガラスが置かれたようでまったく揺るがない。やがて月は沈み、すぐに陽が昇る。凍える朝は、その陽射しにゆるんでいく。