Viva Kasumigaura ! 5

3速が伸びきらないうちにもうひとつ、シフトペダルを掻き上げる。4速を抱いた2ストロークエンジンがじわり車体を加速させ、陽に陰った斜面をフロントタイヤが捉える。背中に慣性と重力を感じる一瞬、その後ろから、クセのあるKenyさんの笑い声が聞こえた気がした。加速を止めないRMの上、フロントフェンダーの先にリップが覗いて、マシンが離陸する。

リヤタイヤが空転して、にわかに騒ぎ出す排気音。跳び出したマシンのステップに立ち、伸ばしたカラダで真下に視線を落とすと、テーブルトップの横に腰を下ろしたryoが、スマホのレンズをこちらに向けていた。

<つづく>