冬空の下に集いし

ビッグテーブルを跳び越え、舞う砂塵のはるか先を追いかける。固く乾いた感触がハンドルバーを伝い、開いた両腕から握力が抜けていく。バックストレートに沿って走る、緩やかな直線。2ストローク85ccが5速に入ってすぐ、軽く上りながらの左カーブが待っている。フロントのブレーキレバーに指を残したまま一気にシフトを3つ落とすはずが、レバーを引くタイミングも握るチカラも、土煙に巻かれて、まるで見えてこない。かすかに沈んだフロントフォークに気づき、クラッチレバーも握らず、立て続けにシフトペダルを3回踏みつける。リヤタイヤがロックして、ようやくRMが減速を始めた。

<つづく>