冬空の下に集いし 5

けして遠回りもしないし、いたずらなショートカットで楽をしない。

いつの間にか前を走っているRMをいぶかるように、4ストローク150ccがひときわ爆ぜる。アウトばかりを選んでコーナーをつなぐワタシに、インをていねいにたどるその音が聞こえてくる。「まともにブレーキが使えるようになった！」と、パドックでうれしそうに話していたから、エンジンブレーキに頼らない、きれいな減速を披露しながら、マシンを翻しているのだろう。

そして、華麗に大きなテーブルトップを跳んでみせるCRF。先に降りた直線で精一杯、右手を大きく捻って煙幕を張り、ひとつ肩で息を吐く。直線の終わりでリヤタイヤが小さく右に流れて、左足がステップから離れた。小さなコブで跳び上がり、すぐに下がるように右へ、マシンごと落ちていく。途中、パイロンで仕切られたショートカットの入り口を右にかすめるようにして。

＜つづく＞