24NAAM 3

柔らかく踏みつけたブレーキペダルと甘い倒し込みは、下りながらのターンで勢いを消し切れなかった。ふんわりと盛られたアウトバンクの土に、アールを無視するようにまっすぐ走る続けるRM。視線は、張られたネットの切れ目から動かない。足も、腕も、指先も・・・ちっとも動かない。動いているのはRMだけ。それは視線の止まった、正しくない方向へと続いていく。

「ヤバい」

こうなるともう、出ていくしかなかった。これで二度目。ひたすら思うことは、最終コーナーに迫るマシンの軌跡。その前に出ることだけは、何としても止めたい。その思いが右の人差し指に届いたか、一気にブレーキレバーが引かれた。フロントタイヤがバンクを乗り上げる寸前、褐色に突き刺さり、前転するようにカラダとリヤタイヤが、ステアリングを軸に宙を舞う。

ハンドルバーがレバーを握りしめた右手ごと反対側のバンクにめりこむと、リヤタイヤの回転も土にぶつかり、ようやく止まった。

<つづく>