24NAAM 4(完)

バックストレートを駆け上がってきたフルサイズマシンを驚かせてしまったけれど、ラインを塞ぐギリギリでカラダを起こして、左手をその後続にかざす。倒れたRMと一度パドックに引き返して、右手とスロットルにこびりついた泥を払い、すぐにコースへと戻っていく。

ケーヒンのPEキャブレターに合わせたのは「24NAAM」。マニュアルには書かれない番手のジェットニードルが、開け始めから開度1/4までの混合気を薄くして、エンジンは軽く吹け上がる。何度かフロントタイヤを浮かせては、フープスをなだらかに跳ねて、第4コーナーを今度は小さく切り取り立ち上がる。

明日は谷田部のテクニカルなコース。最後にもう一度、ビッグテーブルを大きく跳び越えようと、3速に上げたエンジンで右手をひねり上げる。短い加速が、あっという間に斜面をたぐり寄せ、直前に4速を抱いたマシンが高く、きれいな放物線を描く。乾いた音が宙に響いた。