晩春の候 4

前を行くKAWASAKIと、後ろを走るSUZUKI。2台の250ccマシンには、揃いのヨシムラがおごられている。その弾ける音色に挟まれたまま、午後の周回を重ねていく。昼休みまでは調子よくフロントタイヤをコブにぶつけながら駆けたフープスも、肩甲骨に重たく響くようになってきた。ビッグテーブルを越えて、インフィールドの直線からクランクを抜けると、まだ枝に淡い春色を残した桜木から、小さな花びらがはらはらと舞い落ちる。

半月ぶりのMOTO-X981は、もう、春の盛りを過ぎようとしていた。

<つづく>