曲がるんじゃない 4

ビッグテーブルトップを必要なだけの飛距離でまとめると、金属を引き裂くようにひときわカン高いエグゾーストが、奥の林にこだまする。「アウト寄り」なんて甘いもんじゃない。コース幅いっぱい、少しせり上がったアウトの端を乗り上げるようにして走り、ストレートエンドにCRが迫る。周りよりもマシン1台分手前でブレーキングを終え、そこからリヤタイヤを振り出し前後のタイヤを整列させたまま一気に向きを変えて、クランクの初め、左ターンのイン側へ切れ込んでいく。サイレンサーからは高周波が千切れ飛び、車体はもう、続く右コーナーに合わせるように右へ傾げている。たしかにこれなら、逆バンクを気にせず開けていける。そして、軽い上りをさらに音は細く高く伸びていき、コーナーと勾配の頂点をぎりぎりのスライドで駆け抜けては、その先へと落ちていく。

ただ、RM85Lをこの軌跡に乗せて、同じ速さで駆けることは・・・どうしてもできなかった。

<つづく>