進入と、脱出と 4

第2コーナーを、インの山ぎりぎりに立ち上がるワタシに、#2さんが身を乗り出して両手を叩く。そして、第3コーナーを回ってフープスを正面に捉えた瞬間、とうとう右からCR85改が割ってきた。テーブルトップのランディング、斜面を斜めに下りながら小さくマシンの向きを変え、それでも1つ目を勢い飛び跳ねる。ほぼ同時、初速に勝って突っ込んだはずのフープスも、6つ目を先に跳び越えたのは、CRだった。

メインジェットをひとつ絞って、代わりにスローとニードルで下を濃くして持ち込んだRM85L。ハイスロットルが装着されて、直線はかなり速く走れるマシンに仕上がってきた。「ここは速い」と褒められたビッグテーブルトップからの直線、伏せたVFX-Wのシールドに小石混じりのルーストが弾ける。まだ目の前にある背中が少し右にそれて、スロットルを戻したRMからすうっと離れていった。

極端に短いブレーキングを終わらせると、車体をねじるようにして翻し、直線の勢いそのままに、スネークを加速する。「手前にコーナーがあると思い描いて走るといい」と教えてもらっていれば、少しは着いていけただろうか・・・置き去りにされた蛇の背、傍らのKXもCRFももう見えなくなっていた。

<つづく>