明日のために

たったひとつのことにココロをかき乱されて、ガレージに入るのも半月ぶりになってしまった。暗がりの中、ようやく握ったグリップからは、手のひらを渡るリブの感触がはっきりと伝わってくる。ゼッケンプレートやバーパッドには、半月前の土の埃が乗っかったまま、自慢の黄色もくすんで見える。そして、込めたチカラをゆっくり抜いて、RM85Lの後ろをのぞき込んだ。

リムから外れて落ちたビードだけが、黒く回ったリヤタイヤ。こっちもパンクしたまま、半月の間、置き去りにされてしまった。梅雨の晴れ間に、少し早く起きた朝。少し時を巻き戻すようにして、まずはこのリヤタイヤから元に戻していこうか。明日も梅雨が中休みしてもいいように。