奇跡の日曜日 5

いろんなことがあって、それも全部中途半端なままで。おかげでこの半月は、触る気も失せてろくに整備もしてやれなかったRM85Lが、褐色を蹴り上げて加速を始める。湿度のせいか、それとも雨を吸った路面なのか。薄目に振ってある2ストローク85ccが、鈍くも鋭くもなく、割と素直に第1コーナーを目指していく。コースには水たまりはおろか、雨の名残さえどこにも見えない。それでも乾ききったところはなくて、ブレーキレバーを引きずりながら車体を傾げても、フロントタイヤは逃げ出すことなく、狙ったラインをきちんとたどっていく。

気分良く第3コーナーを外から回り込んでフープスに入っていけば、マシンが勝手に2つずつ、コブをいなして走り抜ける。そして第4コーナーからひとつシングルを跳び越えて、いまだに度胸試しのビッグテーブルトップで、宙へと舞い上がる。楽しみにしていた2連ジャンプは消えてなくなり、代わりにS字コーナーの立ち上がりが、路面いっぱいのシングルジャンプに変わっていた。ここも短く真上に放り上げられて、考えもなく繰り返し跳び出していると、耐えるカラダがツラくなってくる。奥の林から戻る右コーナーだけが、固く乾いた風に見えてつるっと滑り出し、朝まで雨が降っていたことを思い出させてくれた。

<つづく>