奇跡の日曜日 4

1時間半かけてかすみがうらにたどり着くまで、Bongoのフロントワイパーが動くことは一度もなかった。下り坂のアスファルトからゆっくり左にハンドルを切り、そのまままばらに停まった先客のトランポの間を縫って、受付から一番離れた場所でエンジンキーを手前に倒す。見慣れない顔とマシンが散らばる向こう、受付小屋の中から白いTシャツ姿が手を振っているのが見えた。左手で応えてから砂利の坂を踏みしめていくと、そのsaitoさんが言っていたとおり、MOTO-X981はしっとりと潤いのある褐色に包まれていた。

<つづく>