憂いなき休日 2

ryoの知っている曲ばかり並んだKISSのベストアルバムは、北海道からずっとそのまま、Bongoの中で繰り返されている。ようやく左手を伸ばして、カラオケで歌うために集めた曲を詰め込んだフォルダに、カーオーディオを切り替える。最新のJ-POPが終わって、ミドルテンポのアメリカンポップスが流れてきた。アンプラグドなギターのバッキングで始まるTake It Easy、EAGLESのデビューナンバーだ。

Route 66、The Mother Roadと呼ばれたアメリカを横断する国道が貫く田舎町アリゾナ州のウインスローという小さな町が、曲の舞台になっている。空の底が抜けたようにヒカリにあふれた広野を、ただアスファルトがどこまでも延びていく。利根川を渡る背の高い有料橋、遮るもののない空に延びた直線が、彼らの歌う見たこともない道に重なってくる。

勾配がゆるやかになって広がる視界。筑波の山陰を隠すように雲に塗られた空、ぼやけた七月の空が、ヒカリを透かしてアスファルトに薄く影を引く。

<つづく>