憂いなき休日 5

<7/6の続き>

風も吹かなければ、雲も動かない。パドックに腰を下ろしているだけで、じっとり汗に濡らされていく。雨の名残は低く這い、カラダにまとわりついては、火照りを内に閉じこめる。待っていても暑いだけ、ならばと覚悟を決めて、独り走るKXの後を追いコースに飛び出した。

すぐにRMが真横を向いて、そのまま立木にぶつかりそうになる。奥で大きく曲がる木陰の右カーブも、とにかくマシンが真っ直ぐ走らない。滑り出すのが怖くて右手をひねれないから、余計にふらついて・・・リヤタイヤは表面の泥だけをさらい、さらに暴れまくる。もう、風とヒカリに頼むしかない。

右足で車体を立て直し、何とかバックストレートへと続くステップアップにたどり着いて、いつものように跳び越えていく。と、その瞬間、えぐるように切り立ったリップが、リヤタイヤを思い切り蹴り上げた。完全にフロントを下げたまま滑空するRM。それでも今日は、不思議と愉快に笑っていられた。

<つづく>