憂いなき休日 8

<7/12の続き>

ブレーキをかけ始めるポイントが少しだけ遅くなって、コーナーを抜けようとする車体を無理矢理引き起こし、クラッチレバーをちょこんと引いて加速する。先週のベスコンとは気分の乗り、リズムがまるで違う。それはワタシとryoにしかわからないことだった。

知り合ったばかりのYZ125のカレも、今日は走りを楽しんでいる。そのカレが仲間と三人、コースを眺めにやってきた。フープスの傍らに立ち、視線が弾けた高音を追いかける。その瞳に向かい、「知らないだろうけど・・・オレには息子がいるんだよ、オレより速く走れる息子がさ」と呟きながら、第4コーナーをまた立ち上がって、シングルを跳び越える。

<つづく>