暮れなずむ西の空に、いくつもの人影が浮かび上がる。
まっすぐ伸び上がった杉木立に涼風がそよぎ、炭の熾火を赤々と照らしていく。ある者は冷えたビールを手にあおり、ある者は焼き上がったばかりの肉を割り箸でほおばり、横長のプラスチック製のテーブルは、いつもとは違う笑い声に囲まれていた。
アルコールを置いておく隙間もないほどに並べられるのは、炭火の焼き肉だけじゃない。塩の利いた枝豆にヒラメの刺身、鰹のタタキは塩とタレの両方が揃い、焼きそばにもちろん乾き物だって忘れていない。アルコールと肴の数々が、みんなの舌をなめらかにしていく。
<つづく>