初めての夏 2

キキキキキッと鳴くヒグラシに、赤ら顔が林の奥へと振り向いた。

その鳴く方は、もう夜の帳につつまれている。そして、ryoと二人、モトクロスを始めた頃からコースを走っていた顔のひとつひとつが、枝に渡された裸電球の灯りに照らされる。昔を懐かしんでも、誰も文句は言わない。みんな、笑顔だ。気心の知れた仲間に昔話を重ねていくうち、夜が一気に落ちてきた。

<つづく>