「やっぱ、楽しいわ」 6

<7/29の続き>

砂利を蹴り、乾いたエキゾーストノートを蒼白く残して、RMが伸びやかに

加速していく。薄い混合気に気を良くした2ストロークエンジンは、捻る右手に過敏に応え、気の抜けた上半身が真後ろに持っていかれる。そして第1コーナーへと続く木立の中、黄色いフロントフェンダーが、鋭く視界を切り取った。

暗いうちに打たれた井戸水が、夏に照らされることなく赤土に残って、ほどよくタイヤを受け止める。立ち上がりでスロットルを全開にすれば、エンジンがすばやく回転を上げて、次のカーブを一気に引き寄せる。自ら巻き上げた砂埃につつまれながら、黄色い車体がカーブを翻り、ストレートを駆け抜ける。

そんな機嫌の良くなったRMの真後ろに、いつの間にかtakaの駆るYZ125が迫ってきていた。

<つづく>