「やっぱ、楽しいわ」 7
ノービスクラスとは言え、MCFAJのシリーズチャンピオンを手にしただけのことはある。
数ヶ月のブランクも、今のカレには当たり前の時間らしい。直線がやってくるたびにフロントタイヤをちらつかせては、コーナーの入り口で、楽しそうに後ろへ下がっていく。追われるミニモトには、かなり辛い周回の繰り返えし。そして、フープスを抜けた左ターンで、RMが完璧にインを刺された。車体半分だけ前に出た青い2ストロークが、似たような音を散らしてリップを蹴り、先にビッグテーブルトップを跳び上がる。すぐに黄色の小さな車体も宙に翻ると、その先、インフィールドのストレートで、散水にぐっしょり濡れたラインへと追いやられる。
それでも絡んで走れるのは楽しくて・・・それが気の知れた仲だから、なおさら。ゴーグルレンズに飛び散った泥を左の指先で弾いて、右手が動かなくなるまでスロットルを絞り上げる。温い加速を見せるYZ125に、黄色いフロントフェンダーをこするように近づいて、バックストレートの高く跳び上がるジャンプを、2台で続けざまに跳び抜けていく。
午後になると、そんなtakaのYZ125は・・・ワタシやyuutaくん、そしてもう一人を、代わる代わる楽しませるマシンになっていた。
<つづく>