「やっぱ、楽しいわ」 8

幅の広いハンドルバーが、ギャップを拾うたびに大きく左右に振られる。そして、グリップに伸ばした短い両腕が、さらにその振幅を増幅させる。

730mmのハンドルバーと85ccのマシンサイズに慣れたカラダに、フルサイズのYZ125は、いかにも大柄だ。コースインしてすぐの勾配、すっかりギャップが並んでしまった第1コーナーへのアプローチで、リヤタイヤは跳ね上がり、そのたびシートが尻を叩いてくる。「後ろ」が効き過ぎる、均整のとれていないブレーキにとまどいながら、小さなすり鉢にも似た右カーブを回ると、125ccの余裕が車体を押しつけるように、目の前に迫る斜面をするすると上っていく。

あまりにあっけなくフープスを過ぎ、ビッグテーブルトップを越えてインフィールドのストレートを駆ける頃になってようやく、YZ125が手の内にやってきた。ストレートエンドから左、右と切り返して無駄に高く跳び上がるシングルジャンプも、大径のタイヤと十分なストロークを持ったサスペンションで、まるで気にならない。コースで最もきつい曲率の左カーブでハンドルバーを路面へと落としながら曲がっていると・・・今度はkojimaさんの黄色いフェンダーが迫ってきた。

2ストローク125ccに乗るのも、追いつ追われて走るのも、ワクワクが止まらない。昼休みに雨を撒いた空が白く光り始めて、薄日の中、いつもとは違う高い視点から路面を見下ろし、鈍いブレーキレバーを引きずりながら、バンクを駆けていく。

<つづく>