真っ赤な女の子 2

<8/6の続き>

トルクに勝る4ストローク250ccが、スルスルと坂を上り、頂点を越えていく。その後から、細いトルクをエンジン回転で満たすようにしてRMが、波打つ斜面を乱暴に駆け上がる。真ん中より少し右にマシンを振って一気に第2コーナーのクリッピングへ、CRF250Rが緩い弧を描いた。同じ軌跡をたどりながらクラッチレバーを引き寄せ、迫る真っ赤なモトクロスジャージの背に向かって短くスロットルを捻る。不意に聞こえたカン高い排気音に、ヘルメットが微かに揺れた・・・と瞬間、「ああーっ」という声とともにCRFが斜めのまま、動くのを止めてしまった。

<つづく>