真っ赤な女の子 5

好きなときに走り出して、自分がいいと思えばパドックに戻る。クラス分けなんて必要ない。自由なMOTO-X981を走るようになって、真後ろに迫るフルサイズ4ストロークの破裂音にも、ラインを乱すことが少なくなった。それでも今日のカノジョは、ちょいと違う。先週のツケをまとめて返すつもりなのか、2本の直線を味方にしてCRF250Rが、破裂音をぶつけながらRM85Lを追い立てる。

最終から第1コーナーまで大きく聞こえていたエグゾーストノートは、第2、第3コーナーを回ってフープスに入る頃になると、途端に小さくなる。この辺りは、一日の長があるらしい。そして、ビッグテーブルを越えてからの長い直線が組み合わされるエリアに入るとまた、音が大きく迫ってくる。その繰り返しが3周続いて・・・ビッグテーブルを越えたインフィールドのストレート、さっきまでにぎやかに迫っていた4ストロークの破裂音が、急に聞こえなくなった。

<つづく>