manmi

半島をめぐる旅に選んだ宿は、千里浜沿いの松林に、横に長く建っている。まるで林の中に身を隠すように、浴場から食堂、大広間、そしてすべての客室を背の低い二階建てに詰め込み、細いアスファルトに寄り添い建っている。潮風の漂うアスファルトには砂がかぶり、そのまま砂の転がる方とは逆に降りていけば、茶色に締まった海砂の上、ツーリストの駆る二輪車が、薄い轍を引いて走っていくのが見える。その向こうに広がる海は、浅瀬に子供連れの戯れる姿を映して、夏の陽に輝いていた。

<つづく>