manmi 2

<8/15の続き>

当世風の音を出さないクルマに混じっては、数台が千鳥に固まって、思い思いのエグゾーストを落としながら走るツーリストたち。ブームに乗ってバイクを手に入れ、北は北海道から西は四国まで一緒に旅した仲間は、すっかり家庭の中に収まって・・・乗り続けているのは、一人だけになってしまった。そんなワタシも、遠くへ旅するバイクを手放してからは、関東を飛び出すこともできずにいる。

12インチを履いた125ccの単気筒では、渚を走るこの道にたどり着くのもままならない。その目の前を、最新のフルフェアリングマシンに、正立のフロントフォークを持つ少し古いオフロードバイクが斜めに着いて過ぎていく。昔日を懐かしむ瞳が見送る後ろ姿は、ヘルメットから短く髪がのぞいていて、風に小さく揺れていた。それは、あの頃のカノジョの背中に、とてもよく似ていた。

<つづく>