見覚えのある、その背中に。

遮るもののない空が、ただ青く突き抜けている。その下で灰色の火山灰が、緩やかな起伏を彼方にのばして、緑の縁へと見えなくなっていく。どこからコースが始まり、どこまでがパドックなのか。いったいここが目指したモトクロス場なのか、それさえわからなくなるほど開けた大地には、千歳のつめたい風が大きく舞っている。入口に佇んだBongoはあまりに小さく、その中に積まれた二台のモトクロッサーも、その乗り手の二人も、まるで小さかった。関東から丸一日かけてたどり着いたここは、そのまま二人を呑み込んでしまいそうな、そんな気配がしていた。

<つづく>