見覚えのある、その背中に。 4

大袈裟な手術のおかげで、ryoの左の肩はもう、簡単には外れなくなった。ただ、何もしていない右肩には、今も脱臼癖が残ったまま。だから今日もこうして、肩口をくるんだサポーターに、ベルクロテープを螺旋に巻き付けてやらないといけない。思えばこの「儀式」ももう、半年以上も前にしてやったきりになっていた。右腕を何度か後ろに引いて、動きが止まることを確認してから、メッシュのモトクロスジャージに袖を通すryo。先に着替えをすませると、すぐにCRF150RⅡのシートへとまたがり、キックペダルを引き出した。

<つづく>