見覚えのある、その背中に。 7

<10/20の続き>

空に向かって斜面を映すバンクは、大きく波打ち、浅いウォッシュボードを貼り付けたように下まで続いている。その波を、カワサキと見紛うばかりのCRFが、重たく砂塵を蹴り上げ疾駆する。傾きが平らに戻ると、そこから緩く上りながら大きく左に曲がり、頂点を過ぎた辺りでもう一回、今度は少し強めに左へとカーブを切っていく。

そのカーブの立てられた縁に突っ込むryo。シートに腰を落とすと、そのまま体重を預けてマシンをその縁に当て立ち上がっていく。アウトまでマシンを持っていくだけの勇気がない私に向かい、CRFがルーストを上げてきれいに翻る。それは、まったく憎らしいほど。そして、空を切り取るエッジから、小さいステップダウンを舐めていく。

跳び出しへのアプローチは、もちろんCRFが圧倒的に速かったけれど・・・ここを先に跳び越えたのはRMだった。毎週のようにMOTO-X981を走り、少しはジャンプもうまく跳べるようになった。ジャンプが得意な息子に、そんな父親の背中を見せてやることができて・・・少し気分も晴れた。

<つづく>