見覚えのある、その背中に。 8

<10/22の続き>

ステップダウンの底から再び斜面を駆け上がり、シングルを三つ、流れるように跳び抜ける。ミニモトには過ぎた広さに、ラインも何もあったもんじゃない。ただ、全開にしてハンドルバーを押さえ込むだけ。それでも柔く荒れた火山灰に、着地するたびマシンが暴れだす。そして、三つ目のランディングがそのまま下りながら左回りのコーナーになって、さらに荒れた直線が短く、次の右ターンへと続いている。

空を背にターンの縁が弧を描く。切り返しのほとんどに角度が付けられていて、気を許すと、バンクに失速したマシンはフロントから砂にすくわれる。それが怖くて、まだ傾いたRMの上で半端にスロットルを捻れば、今度はリアが砂を掴みきれずに横を向く。瞬間、目の前に居たはずのCRFは爆音だけを残してすうっと離れ、緩いアップダウンの先、小さな背中はステップをひとつ跳び越え、見えなくなる。

坂の上で待っているのは左のターン。そして、曲がった先にステップダウン。ここはコブの間が少し開いていて、おまけに斜面にかかる手前でリアが右に振られて・・・なかなか思い切れない。下手をすると、マシンが斜めのまま離陸することになる。結局最後まで跳びきれないまま、落ちた先の右のタイトターンをバンクに任せて走り抜ける。すると、その先でまたひとつ、シングルジャンプが待っている。

<つづく>