雨のあわいに

一度も全開にできないまま、西へと家路をたどる。ヘッドライトにアスファルトが黒く塗れて浮かび上がり、闇に注ぐ川の上を錆びた鉄橋がわたる。遠くに街の灯が白く濁って、フロントガラスに雨の砕ける音も、だんだん大きくなってきた。Roket Rideを歌うエースの声もかすれて、よく聞こえない。うんざりするような週末。それでも一時、かすみがうらの空には薄く陽が射し込んで、パドックの笑顔を照らしていた。

<つづく>