54×54の魅惑

朝の光を透かした黄葉が、北の風にざわついている。

バックミラーに白いゼッケンプレートが大きく写り込み、後ろに延びているはずのアスファルトは、その陰に隠れてまったく見えない。遠くにあった筑波の山容がいつの間にか大きく現れてきて、T字路をゆっくり右へと折れていく。そして、往来の少ないのをいいことに、法定速度を大きく越えたBongoが再び東に向かって走り出す。知った顔はもうパドックに着いていると、Facbookがスマホの画面の中でそう告げている。もう20分も走れば私も、そのMOTO-X981にとどく。国道6号線を渡り、常磐線の軌道を越えて、鶴沼を過ぎたら後は、ひたすらまっすぐに進むだけ。眩い東の空に向かって。

<つづく>