54×54の魅惑 3

開いたドアから勢いよく、朝の空気が流れ込んできた。

あれほどかさついていたパドックも、落ちた木の葉がしっとり濡らされている。ゆっくりとその上に降り立ち、バックドアーを跳ね上げれば、リヤフェンダーが青くすましてこちらを向いていた。両腕を大きく伸ばして、それでもつま先立ちして、その新しい青い相棒を引っ張り出していると、傾げた車体がふわりとまっすぐに立ち上がり、腕に乗っていた重さが一瞬消えてなくなった。振り向くと、いつもの気のいい神立のカレが「おはようございます!」と、リヤフェンダーに両手を添えていた。

<つづく>