光と陰と 2

表の泥が削られ落ちて、濡れたバンクがうっすらと光る。その縁にリヤタイヤをあわせ、再び半クラッチから一気に斜面へと立ち上がる。陽を浴びた勾配にはCRF150RⅡの影が這い、エグゾーストノートを散らして、木々の陰の中へと跳び抜けていく。わずかに排気量の下回る2ストロークマシンが、追いすがるように大きな弧を描いて、テーブルトップを跳び越える。イン側に溜まっていた雨水がすっかり抜けた第2コーナーを、それでもカレはアウト側にマシンを寄せていき、負けじと大きな弧を描いて泥を掻き上げる。そのフロントタイヤが目の前を掠め、見えない斜面に音だけが走っていった。

<つづく>