光と陰と 3

<12/11の続き>

午後3時30分、残り30分の走行枠。西日の射すコースを走るのは、二人だけになった。

ヘルメット越しに聞こえるのは、なだらかな曲線を弾みながら刻む、4ストロークの重たい排気音。その音と背中がまた、左アールを大きく外へと回っていく。最後のコブを小さく越えて、そのCRFがたどる弧線の内側に、鋭角な軌跡を描いてみる。そして、左右に並んでシングルジャンプを跳び出して、ビッグテーブルトップの斜面へ加速。前に出たはずのHONDAが、音だけ残して、陰にいなくなった。その音に引かれるように、黒い壁にフロントが掛かった瞬間、破裂音が消えてなくなり、空に黒く、車影だけが浮かんでいった。

<つづく>