気分は上々 2

横に真一文字のスターティンググリッド。手前にきれいに倒れた赤茶色のバーを、爆裂音が塊になって越えていく。その左端、第1コーナーに向かって一番外に開いた位置から、黒地に緑のデカールに身を包んだCRF150RⅡが、一気に加速をはじめる。グリッドのアウトの端なんて、ほとんど選ぶ奴はいない。ホールショットから、もっとも離れたところだから。

ヒート1のラストラップにしかインを回っていないのは、コーナーをえぐるように走れないだけ。アウトを全開のまま抜けていくなんて、できやしない。それでもアウトからバンクの縁をめがけるのは、ちょっぴりkyo-chanの真似をしてみたかったから。右に流れる集団には目もくれず、ひたすら右バンクのてっぺんだけを睨み、動かなくところまで右手を絞り上げた。

<つづく>